座りっぱなしにはこれが効く!腸腰筋が股関節のつまりの原因に!?今から腰痛予防をしよう!
日本人は世界の中でも仕事時間が長く、労働時間のほとんどが座ったままの状態という方もいらっしゃるかもしれません。
座りっぱなしの状態では、身体に様々な弊害が出てきてしまいます…今回は股関節に着目してご紹介していきます。
普段から股関節に違和感を感じている方や、デスクワーカーの方は是非最後までご覧ください。
股関節周りの筋肉
股関節周りに関与する筋肉と聞いても、思い浮かばない方が多いかもしれませんね…。
まずは股関節がどのような関節なのか、という基礎的な部分からご紹介します。
股関節とは
まず、関節にはいくつかの種類があります。
※関節について詳しく知りたい方は下記のコラムをご覧ください
股関節は球関節という、丸い球上の関節構造をしています。
球関節の特徴としてあらゆる方向に動かしやすいというメリットがありますが、反対にデメリットとして 関節が不安定な状態であるとも表現できます。
では、この股関節はどのような動きをするのか…まずはご自身の手の指の関節でイメージしてみましょう。
指の曲げ伸ばしを行うことはできますが、指を捻ったりすることは難しいですよね。
次に股関節を動かしてみましょう。
股関節は先ほど動かした指とは異なり前後左右に動かすことが出来ますし、更に関節を回すような動きも行うことができます。
この違いが関節構造の違いです。
股関節は他の関節とは違い、様々な方向に自由に関節を動かすことが出来るため股関節の周りに付着している筋肉などが何らかの要因で固まってしまうと動きが制限されてしまいます。
その結果本来動くべき動きを出すことが出来ず、身体に様々な弊害が出てきてしまうのです。
股関節は
- 大腿骨のボールの形をした大腿骨頭
- 骨盤側の骨頭の受け皿になる臼蓋
の組み合わせで出来ています。
正常な股関節では、骨頭と臼蓋のかぶりの程度が約4/5を包み込むことで関節を安定させています。
普通に歩くだけでも股関節は体重の3~4倍の力がかかります。
この力に股関節は筋肉やの耐えられるよう、股関節は腱などで全体を覆われており自由な関節でありながら安定性を保ちながら様々な方向に動かすことができるのです。
腸腰筋とは
腸腰筋という言葉を、聞いたことがある方もいらっしゃることでしょう。
腸腰筋はいくつかの筋肉の総称であり、一つの筋肉ではなく複数の筋肉が合わさって表現されるものを指します。
【小腰筋】
- 起始:第12胸椎から第1腰椎の椎体外側面
- 停止:腸恥隆起と付近の筋膜
- 作用:股関節屈曲
- 支配神経:腰神経叢(L1)
小腰筋は大腰筋からの枝分かれで現れる筋肉で、全員にある筋肉ではなく半数以下の人にしか存在しない筋肉です。
腸腰筋の腱を引っ張るため、腸骨筋や大腰筋と共に股関節の屈曲動作に関与しますが、その働きは大腰筋の補助的な働きを果たします。
【大腰筋】
- 起始浅頭:第12胸椎~第4腰椎の椎体側面及び椎間円板側面
- 起始深頭:第1~第5腰椎の肋骨突起
- 停止:大腿骨の小転子
- 作用:股関節屈曲、外旋
- 支配神経:腰神経叢前枝(L1~L4)
腸骨筋とともに太ももを上げたりするときに活動する筋肉です。
ボールを蹴る動作やランニング、階段を上るなど少し足を上げるといった動作でも活動します。
【腸骨筋】
- 起始:腸骨窩及び下前腸骨棘
- 停止:大腿骨の小転子
- 作用:股関節屈曲、外旋
- 支配神経:大腿神経及び腰神経叢の枝(L2~L4)
大腰筋同様に、ももを上げる時に活動し、ボールを蹴る動作やランニング動作の時に活動します。
上記3つの筋肉が合わさり、腸腰筋と表現されます。
腸腰筋は股関節の前側に付着しており、股関節屈曲という足を上げる時に活動する筋肉です。
また、大腰筋は背骨から伸びる筋肉であるため固まってしまうことで背骨への負担が増加し、腰痛を誘発する可能性もあります。
大腿骨という太ももの大きな骨に付着しているため、姿勢を保つ上では大きな役割を果たしています。
座りっぱなしの身体への弊害
座りっぱなしになると、身体にはどのような弊害があるのでしょうか?
一緒に考えてみましょう。
まず、座っている姿勢で股関節は状態なのか…
仰向けに寝て、股関節が真っ直ぐ伸びている状態を股関節0°と表現します。
ここから座る姿勢になると、股関節が折れ曲がり大体股関節屈曲90°程度となります。
座り姿勢で股関節屈曲90°なっているときに腸腰筋はどのようになっているのでしょうか?
股関節0°の時には腸腰筋がフラットな状態となっていますが、90°曲がっている状態となると腸腰筋は収縮し縮んでいる状態となります。
もうお気づきの方もいるかと思いますが、
- 座りっぱなしになると股関節屈曲位となる
- 腸腰筋が収縮し縮んだ状態になる
- 座る時間が長くなると腸腰筋が縮んだ状態のままになる
- 腸腰筋が上手く伸びなくなり、足を上げる時につまり感が出現する
- ますます足を動かさなくなり、腰痛や足の上げづらさに繋がる
という悪循環が起きます。
座って休憩することは悪いことではありませんが、座っている時間が長すぎると身体にとっては悪影響になってしまう可能性があるのです。
では、次に座っている姿勢と腸腰筋はどのような関係があるのか詳しくみてきましょう。
座り姿勢と筋肉の関係
上図はさまざまな座り姿勢示しています。
どのような姿勢で座っていることが多いでしょうか?
左側に示している理想の姿勢は、身体にとって最も負担の少ない座り方です。
前述したように座り姿勢になると、股関節は折れ曲がり腸腰筋は縮んでいる状態となります。
ここで注目すべきは股関節の屈曲角度です。
大腰筋はどの部分から起始していたでしょうか?
大腰筋の起始部は「第12胸椎~第4腰椎の椎体側面及び椎間円板側面」
ということは、大腰筋は腰椎全体に付着し腰椎を前側に引き寄せ、腰の正常なカーブを保つことで腰を安定させる働きを担っています。
また、足が固定されている場合(立っているときなど)は腰椎を前方に引き出し、姿勢を安定させる役割を持っている重要な筋肉です。
では、左から2番目の図に着目してみましょう。
いわゆる「反り腰」の状態では、股関節の屈曲各角度はどうなっているでしょうか?
理想の座り姿勢よりも股関節の屈曲角度が増えていることが分かります。
ここまでくるともう、皆さんお気づきですね?
股関節の屈曲角度が増加すると、元々座位姿勢で縮みやすい腸腰筋が更に縮むような状態となります。
更に、座りっぱなしの股関節屈曲角度が多い状態で長時間同じ姿勢が続くと、腸腰筋は伸びにくくなってしまいます。
座っている時の姿勢として「背中猫背」「腰猫背」「浅座り」といった背中が丸い状態を意識する方は多いかもしれませんが、実は腸腰筋のことを考えると反り腰の状態も身体にとっては悪影響となってしまうことも…
姿勢を良くしようと頑張りすぎると「反り腰」となり、逆効果となってしまう危険性もあるため注意しましょう。
では最後に今回ご紹介してきた腸腰筋を伸ばすストレッチをお伝えしていきます。
腸腰筋を活動させよう!
なんと簡単!今回は自宅でできる簡単なストレッチ方法をご紹介。
誰でも簡単にできる方法ですので、この記事を見ながら実践してみてください。
【方法】
- 立ち膝になります
- 片脚を前に出します
- 前に出した脚の膝を曲げるように前方へ荷重をかけます
- 最も伸張感を感じるところで姿勢を維持(目安は20~30秒)
【ポイント】
- 足の幅
足の幅はできるだけ広いほうが上手くストレッチを行うことができます。
足幅が狭くなってしまうとお尻を十分に下げることが出来ず、ストレッチを上手く行えない可能性があります。
足幅の目安は大股2歩分程度!できる範囲で足の幅を広くとりストレッチを行ってみましょう。
- お尻を床に近づける
今回のストレッチで伸ばしたい筋肉は腸腰筋です。
上記でお伝えしてきたように腸腰筋は股関節の前側に付着している筋肉であるため、ストレッチを行う際には股関節の前側に伸びている感覚があるかを確認しましょう。
適切な伸張感を感じるためには、お尻をできる範囲で床に近づけることがポイント!
お尻が高い状態でストレッチを行うと股関節の前側を伸ばしづらくなりますので、お尻を下に下げるように意識してみましょう。
【注意点】
- 呼吸が止まらないように注意
ストレッチはできるだけリラックス状態で行うことでより効果を得ることができます。
呼吸が止まってしまうと身体に余計な力が入ってしまい、筋肉を十分に伸ばすことができません。
ストレッチ姿勢となりご自身の中で腸腰筋に伸張感を感じているところで深呼吸を繰り返すように意識し、呼吸が止まらないように注意しましょう。
- 痛みの出ない範囲で行うように注意
上記同様にストレッチはリラックス状態で行うことが重要ですが、痛みが出てしまうとリラックスすることが難しくなります。
ストレッチは痛みがないと効果がでないのではないか?と感じる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
痛みがなくとも、ご自身の中で伸張感が出ていれば十分にストレッチの効果を発揮することができます。
痛みを我慢せず、リラックス状態で行うことができるポジションでストレッチを実践してみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
デスクワークの方は股関節の筋肉である「腸腰筋」が硬くなってしまっている可能性があります。
また、姿勢を良くしようと意識しすぎるあまり反り腰となり、逆効果となってしまっている可能性もあります。
今から予防することで身体にかかる負担を軽減させることができます。
今回ご紹介した腸腰筋のストレッチは誰でも簡単にできる内容となっていますので、固まってしまった腸腰筋を自分でも伸ばし、股関節のつまり感を解消し、腰痛予防をしていきましょう!
今回の記事を読んで少しでも、ご自宅での運動、普段の座り姿勢を意識するきっかけになれば幸いです。
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所属の健康運動指導士トレーナー竹村です。
内科系疾患・整形外科疾患・予備軍の方に向けた健康増進施設、指定運動療法施設にてトレーナー従事中
運動を行う上での効果やポイント、身体についての知識など、運動に関わる様々な情報を発信していきます。