深層筋と表層筋――目的別で選ぶ、“正しい筋肉の使い方と鍛え方”
私たちが日常生活で体を動かすとき、からだの中では「深層筋(インナーマッスル)」と「表層筋(アウターマッスル)」が協力しながら働いています。
しかし、多くの人は筋肉といえば大きくて目立つ“アウター”だけを思い浮かべがちです。
ダイエットでお腹を引き締めたい
姿勢を良くしたい
肩こりや腰の重さをなんとかしたい
運動パフォーマンスを上げたい
こうした目的によって、本当に鍛えるべき筋肉は変わってきます。
そして多くの場合、「なんとなく筋トレをしているだけ」では、実は効かせたいところに刺激が届いていない、ということも珍しくありません。
そこで本コラムでは、
深層筋(インナーマッスル)とは?
表層筋(アウターマッスル)とは?
それぞれの役割の違い
どんな人がどちらを鍛えるべき?
鍛えるメリット
日常生活での使われ方の違い
初心者でもできる簡単エクササイズ
この7つの視点から、わかりやすく徹底解説していきます!ぜひ最後までお付き合いください。
■ 1. 深層筋(インナーマッスル)とは?

深層筋とは、骨や関節のすぐそばに存在し、体を“内側から支える”筋肉のこと。名前の通り、身体の“深い”場所にあります。
具体的には、
腹横筋
多裂筋
横隔膜
骨盤底筋群
腸腰筋
肩甲骨周りの細かい筋肉
などが代表的です。
▼深層筋の最大の特徴は「姿勢の維持」
私たちが無意識で立っているとき、座っているとき、歩くとき、この“姿勢を保つ仕事”を担っているのが深層筋です。
逆に言うと、深層筋が弱いと…
反り腰になる
猫背がクセになる
腰痛や肩こりを繰り返す
お腹がポッコリしやすくなる
すぐ疲れる
歩くときに足が重く感じる
などの不調につながります。
▼深層筋は「強さ」より「使い方」が大事
深層筋はアウターのように、鍛えたからといってムキムキになるものではありません。
大切なのは「働ける状態」をつくること。
呼吸、姿勢、軽いエクササイズを通して“使えるようにする”ことで、体に安定感が生まれます。
■ 2. 表層筋(アウターマッスル)とは?

深層筋が“支える筋肉”だとすれば、表層筋は“動かす筋肉”です。
目で見てわかる筋肉、触ると硬さを感じる筋肉はこのアウターマッスル。
腹直筋(シックスパック)
大胸筋
大腿四頭筋
大殿筋
広背筋
三角筋
これらが代表です。
▼表層筋は「力強い動き」を生み出す
重いものを持つ
速く走る
高く跳ぶ
パワーを出す
こうした“目に見える動き”はアウターマッスルの働きによるもの。
運動で身体を変えたい場合、アウターを鍛えることは欠かせません。
▼アウターはサイズが変わりやすい=見た目に直結
アウターを鍛えると、
ヒップアップ
二の腕引き締め
お腹の引き締まり
背中のラインが整う
姿勢がきれいに見える
など、見た目の変化が出やすいのも特徴です。
■ 3. 深層筋と表層筋の“役割の違い”
| 役割 | 深層筋 | 表層筋 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 体を支える・安定させる | 体を動かす |
| 動きの特徴 | 小さな動作・姿勢維持 | 大きな動作・パワー |
| 疲れやすさ | 疲れにくい | 疲れやすい |
| 見た目への影響 | 体のラインを整える | ボディラインを作る |
| 鍛え方 | 呼吸・姿勢・軽い運動 | 負荷をかけたトレーニング |
深層筋と表層筋は、どちらか一方だけで体を動かすわけではありません。
しかし、どちらかが極端に弱くなると姿勢や動きが崩れ、結果として不調につながります。
■ 4. どんな人がどちらを意識すべき?

▼① 深層筋(インナー)を優先したほうがいい人
猫背・反り腰が気になる
肩こり・腰痛が慢性的
立ち仕事・座り仕事で疲れやすい
お腹がぽっこりしている
体が硬い
体幹の弱さを感じる
運動が苦手
ピラティスやヨガに興味がある
深層筋は“体の土台”。
土台が弱いまま筋トレをすると、アウターばかりに力が入りすぎてケガや姿勢不良につながりやすいのです。
スマートスタジオのピラティス導入が増えているのも、この“深層筋の重要性”が理由のひとつです。
▼② 表層筋(アウター)を優先したほうがいい人
ヒップアップしたい
二の腕やお腹を引き締めたい
筋肉をつけたい
ダイエットで代謝を上げたい
全体的に姿勢を美しく見せたい
パフォーマンスを上げたい(ランニング・スポーツ等)
アウターは体の“見た目”をつくる筋肉なので、ボディメイクに必須。
ただし、インナーが弱いまま鍛えると使い方が偏り、
太ももだけ太くなる
腕ばかり疲れる
反り腰のままトレーニングして腰を痛める
という問題も起こりがち。
「インナー → アウター」の順番で鍛えると、カラダの変化が劇的にスムーズになります。
■ 5. 鍛えることで得られるメリット

● 深層筋のメリット
- 姿勢が自然に整う
- 腰痛・肩こりの軽減
- 体の軸が安定し、疲れにくくなる
- 呼吸が深くなる
- お腹が引き締まる(見た目は大きく変わる)
- 体が軽く感じるようになる
- 代謝アップにつながる
特に「ぽっこりお腹」は腹筋運動よりも“インナーを使える状態”を作ることが最重要です。
● 表層筋のメリット
- 見た目が引き締まる(最も分かりやすい効果)
- 基礎代謝が上がり、痩せやすくなる
- 力が出しやすくなる
- スポーツパフォーマンス向上
- 筋肉の輪郭がきれいに出る
- 姿勢が「美しく」なる(インナー+アウターの共同作業)
■ 6. 日常生活ではどう使われている?
意識していなくても、私たちは生活のほとんどでインナーとアウターを使っています。
▼深層筋が働くシーン
立ち姿勢
座り姿勢
歩行
家事
呼吸
パソコン作業
スマホ姿勢
子どもを抱えるとき
姿勢維持と安定性が必要なタイミングは、ほぼすべてインナーの仕事です。
▼表層筋が働くシーン
物を持ち上げる
階段を上がる
ダッシュする
重い荷物を持つ
力を込める動作
大きな動作やパワーが必要な場面はアウターの出番。
■ 7. 初心者でもできる!おすすめ簡単エクササイズ

▼ 深層筋(インナー)
① ドローイン(腹横筋の活性化)
鼻で息を吸う
口から細く息を吐きながら、お腹をへこませる
そのまま自然な呼吸で10秒キープ
→ 姿勢改善・腰痛予防に効果大。
② キャット&カウ(背骨と多裂筋の活性化)
背中を丸める → 反らすをゆっくり繰り返す。
→ 背骨に関わるインナーが働き、姿勢の癖を改善。
③ ヒップロール(骨盤底筋・体幹の活性化)
仰向けで骨盤をゆっくり転がしながら持ち上げる。
→ インナーを使いながら下半身も安定。
▼ 表層筋(アウター)
① スクワット
→ 太もも・お尻の大きな筋肉を刺激。脂肪燃焼・代謝アップに最強。
② ヒップリフト
→ お尻の形を整える定番種目。姿勢改善にも効果大。
③ プランク
→ 全身のアウターとインナーのバランスが整う万能種目。
■ 8. 姿勢タイプ別 ― 深層筋と表層筋のバランスが崩れるとどうなる?

▼姿勢タイプ①:猫背タイプ
■ 猫背の特徴
背中が丸くなる
肩が前に入り、首が前に出る
肩甲骨が外側に流れる
肩こりや頭痛が起こりやすい
呼吸が浅い
スマホ・デスクワークの増加により、現代でもっとも多い姿勢です。
■ 猫背は「深層筋が働かない+表層筋の過剰働き」がセット
猫背になると、まず 背骨を支える深層筋(多裂筋・脊柱起立筋の一部) が働かなくなります。
その結果、姿勢を保つために表層筋である 僧帽筋上部・胸の筋肉(大胸筋) が必要以上に緊張。
つまり、
深層筋 → 働けない
表層筋 → 働きすぎてガチガチ
という状態です。
■ 猫背の人に必要なのは?
① 深層筋(特に背骨を支える多裂筋)
背骨を小さく動かすインナーを働かせることで、自然に胸が開きやすくなります。
② 肩甲骨まわりのインナー(前鋸筋など)
肩が前に落ちるのを止めるブレーキ役。
③ 表層筋(背中)をほどよく使う
特に肩甲骨を寄せる筋肉(菱形筋・僧帽筋中部)を正しく使えると姿勢が安定。
■ 猫背タイプの改善まとめ
インナー:背骨を支える・肩甲骨を安定させる筋肉にスイッチを入れる
アウター:背中(僧帽筋・菱形筋)をバランスよく使う
▼姿勢タイプ②:反り腰タイプ
■ 反り腰の特徴
骨盤が前に傾き、お尻が後ろに突き出す
太ももの前が張る
腰が疲れやすい
お腹がポッコリしやすい
よく“腰が反っているね”と言われる
女性に特に多い姿勢タイプです。
■ 反り腰は「インナー弱め+アウター前側の張りすぎ」
反り腰では、
腹横筋(インナー)が弱い
腸腰筋などの姿勢保持筋が使えていない
太ももの前(大腿直筋)だけががんばりすぎる
というアンバランスが生じています。
その結果、腰だけが前へ反り、下腹部の力が抜けてポッコリお腹に。
■ 反り腰の人がまず意識すべきは?
① 深層筋:腹横筋・骨盤底筋
反り腰の9割はここが弱く、腰が前へ倒れてしまう原因に。
② 深層筋:腸腰筋の「正しい使い方」
反り腰の人は腸腰筋が弱いのではなく“固まっているだけ”のことが多い。
機能改善すると姿勢が劇的に変わります。
③ 表層筋:お尻(大殿筋)を使えるように
反り腰の人のお尻は「見た目は大きくても使えていない状態」であることが多いです。
正しいスクワットをすると、見違えるほど腰の負担が減ります。
■ 反り腰タイプまとめ
インナー:腹横筋・骨盤底筋で“体幹の蓋”を閉める
アウター:お尻や太もも裏を正しく使う
結果 → 腰の反りが自然に収まり、お腹が引き締まる
▼姿勢タイプ③:巻き肩タイプ(肩が内巻き)
■ 巻き肩の特徴
肩が前に出ている
背中が丸く見える
呼吸が浅い
肩こり・頭痛が起きやすい
手先が疲れやすい
猫背とセットになっていることも多い姿勢です。
■ 巻き肩は「胸のアウターが強く、背中のインナーが弱い」
巻き肩の原因はとてもシンプルで、
胸の大胸筋が固く、縮んでいる
肩甲骨を安定させる深層筋が弱い
肩甲骨を動かす背中のアウターが使いづらい
という状態です。
■ 巻き肩の人が整えるべき筋肉
① 深層筋:肩甲骨の内側(前鋸筋・小さな筋群)
肩甲骨が「正しい位置」に戻ります。
② アウター:背中(僧帽筋中部・下部)
肩甲骨を下げる動きができると呼吸が深くなり、肩こりも減る。
③ 胸のストレッチ(大胸筋)
張りすぎたアウターを緩めることが必須。
■ 巻き肩タイプまとめ
インナー:肩甲骨の安定性を取り戻す
アウター:背中で支えられるようにする
胸を緩めてバランスを整える
▼姿勢タイプ④:スウェイバック(腰が前、頭が後ろ)
■ 主な特徴
骨盤が後傾して、お腹が前にポヨンと出る
背中が丸く、腰が後ろに逃げている
上半身だけ前に倒れて見える
首の後ろがつらい
体幹が弱く、疲れやすい
■ スウェイバックは“インナー総崩れ”の状態
この姿勢では、
腹横筋が使えていない
多裂筋が弱く、背骨が支えられていない
骨盤底筋の機能低下
太もも裏が過剰に張る
インナーが全体的に「眠っている」ような状態になっています。
■ スウェイバック改善には?
① 深層筋:腹横筋・骨盤底筋・多裂筋の再教育
まさに“インナーの総復習”。
② アウター:お尻の正しい使い方
お尻が弱い人が非常に多く、立ち姿勢が不安定になります。
③ 背中と太もも裏のバランス調整
過剰に張りやすい部位を整えると姿勢が劇的に改善します。
▼姿勢タイプ別まとめ(一覧)
| 姿勢タイプ | 弱いインナー | 張りやすいアウター | 必要な改善 |
|---|---|---|---|
| 猫背 | 多裂筋・肩甲骨の安定筋 | 僧帽筋上部・大胸筋 | インナー活性+背中強化 |
| 反り腰 | 腹横筋・骨盤底筋 | 太もも前・腰 | インナー活性+お尻強化 |
| 巻き肩 | 前鋸筋・肩甲骨安定筋 | 大胸筋 | 肩甲骨安定+胸ストレッチ |
| スウェイバック | 腹横筋・骨盤底筋・多裂筋 | 太もも裏・背中上部 | 全インナー活性+お尻強化 |
■体は「深層筋 → 表層筋」の順で変わります
どの姿勢タイプでも共通しているのは、
深層筋が働く → 姿勢が整う → アウターが正しく使える
という順番で身体が良くなるということ。
深層筋を使えるようにしてから表層筋を鍛えると、
姿勢が自然に整う
引き締まりやすくなる
不調が出にくくなる
ボディラインが美しくなる
という良循環がはじまります。
■姿勢改善したい方はスマートウェイ

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