メタボリックシンドロームとはどんな状態?
メディカルフィットネスパーソナルトレーナー・理学療法士のタケダです。
ダイエットや運動のきっかけになることも多いメタボリックシンドロームですが、いったいどのような状態の人のことを言うのでしょうか。
診断の基準やその危険性、対策についてをまとめました。
メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドロームとは、肥満(特に内臓脂肪型肥満)・脂質代謝異常・耐糖能異常(高血糖)・高血圧など、動脈硬化の危険因子をもつ人のことを言います。
この危険因子の数が増えるごとに動脈硬化性疾患(特に虚血性心疾患)を発症する確率が上昇していきます。
この原因は、運動不足や食べすぎなどの日々の積み重ねが原因となっている場合が多く、日々の生活習慣を改善する事により、重篤な病気を防ぐことにつながると考えられます。
動脈硬化性疾患とは
動脈の壁にコレステロール等が固まってできるアテロームができ、血管が硬くなり血流が悪くなることで起こる病気のことで心筋梗塞・大動脈瘤・脳梗塞といった病気を引き起こす可能性があります。
日本人の死因ベスト4
- 悪性新生物
- 心疾患
- 老衰
- 脳血管疾患
日本人の死因の2位と4位は動脈硬化によって引き起こされる可能性のある疾患とされています。
つまりメタボリックシンドロームはこういった死因に関与することになります。
メタボリックシンドロームの診断基準
必須条件とされているもの:腹部肥満
ウエスト周径
- 男性85cm以上
- 女性90cm以上
次の3項目のうち2項目に該当する人
- 血圧:収縮期血圧(上の血圧)130mmHg以上かつ/または拡張期血圧(下の血圧)85mmHg以上
- 空腹時血糖:110mg/dL以上
- 脂質:トリグリセライド(中性脂肪)150mg/dL以上かつ/またはHDL-コレステロール40mg/dL未満
つまりメタボリックシンドロームは、すでに身体に異常がみられる状態の人のことを言います。
メタボリックシンドロームの基準にある、血圧や血糖値に関する基準は、通常の高血圧や糖尿病の診断基準よりも高く設定されています。
たとえ一つの危険因子は軽度でも、危険因子が重なることで動脈硬化の進展につながるためです。
ウエストの計測方法
立った状態で軽く息を吐き計測を行い、おへその位置かその少し上で計測を行います。
脂肪の蓄積が著明でおへそが下に変位している場合には、肋骨下縁(肋骨の一番下にある骨の下側)と上前腸骨棘(骨盤の前側のでっぱり部分)の中点の高さで計測を行います。
メタボリックシンドロームによって引き起こされる病気
- 心筋梗塞や狭心症
- 大動脈瘤や大動脈解離
- 脳出血や脳梗塞
- 閉塞性動脈硬化症
- 腎機能障害
- 脂肪肝
- 高尿酸血症や痛風
- 睡眠時無呼吸症候群
など
特定健康診査(メタボ健診)と特定保健指導とは
特定健康診査(特定健診)(メタボ健診)は健康保険の加入者およびその家族で、40歳から74歳の方を対象に生活習慣病の予防のためにメタボリックシンドロームに着目した健診を行う内容です。
特定保健指導とは、生活習慣病の発症リスクが高い方で生活習慣を改善することで生活習慣病の予防効果を多く期待できる方に対し、生活習慣を見直すサポートをするものです。保健師や管理栄養士等が行います。
特定健康診査(メタボ健診)で行う検査
- 問診(喫煙の有無や服薬情報など)
- 身長・体重・BMI・腹囲の計測
- 身体診察(理学的検査)
- 血圧
- 尿検査
- 血液検査
(脂質検査:中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロール)
(血糖検査:空腹時血糖・HbA1c)
(肝機能検査:AST・ALR・γ-GTP)
- 必要に応じて行う項目
心電図(収縮期血圧が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧が90mmHg以上の人、問診などで不整脈が疑われる人)
眼底検査(収縮期血圧が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧が90mmHg以上の人、空腹時血糖が126mg/dL以上、HbA1cが6.5%以上、随時血糖が126mg/dL以上のいずれかに該当する方)
貧血検査(貧血の既往のある方等:赤血球・血色素量・ヘマトクリット値)
特定保健指導の対象となる人
特定保健指導は特定健康診査(メタボ健診)の結果をもとに、メタボリックシンドロームの予防や解消を目的に行われる健康支援のことをいいます。
肥満リスクの判定
- 腹囲:男性85cm以上、女性90cm以上
- 上記には該当しないがBMIが25以上
追加リスク判定
- 収縮期血圧 130mmHg以上 または 拡張期血圧 85mmHg以上
- 中性脂肪 150mg/dL以上 または HDLコレステロール 40mg/dL未満
- 空腹時血糖 100mg/dL以上 または HbA1c5.6%以上
- たばこを習慣的に吸っている
※血圧・脂質・血糖値の治療にかかわる薬剤を服用している人は対象外
積極的支援
- 肥満リスクの腹囲の判定に該当していて、追加リスクのうち2つ以上に該当項目がある場合
- 肥満リスクのBMIが該当していて、追加リスクのうち3つ以上に該当項目がある場合
上記に該当している場合が積極的支援に当てはまります。
積極的支援の内容には自分自身の健康状態をよく認識し、どうしてそのような状態になったのか、運動や食事など生活習慣との関係を理解し、自分で生活習慣の改善を実行できるように医師や保健師、管理栄養士らとともに計画を立て3~6ヵ月にわたる指導・支援が行われるものを言います。
動機付け支援
- 肥満リスクの腹囲の判定に該当していて、追加リスクのうち1つに該当項目がある場合
- 肥満リスクのBMIが該当していて、追加リスクのうち1~2つに該当項目がある場合
上記に該当している場合が動機付け支援に当てはまります。
動機付け支援の内容には、現在の自分の健康状態と生活習慣との関係などをよく理解し、生活改善を実行する動機づけのための指導が原則1回行われるものを言います。
情報提供
リスクのない人も含め受診者全員に対して、より健康的な毎日を過ごせるよう生活習慣の見直しと改善のきっかけとなる情報を提供するものを言います。
メタボリックシンドロームを予防するには
脂肪細胞とは
まず脂肪細胞の役割について、脂肪細胞はエネルギーを貯蓄する役割と供給する役割があります。
エネルギー過剰状態では中性脂肪はエネルギー源として利用されず、脂肪細胞に取り込まれ貯蔵されます。
中性脂肪が蓄積されると、脂肪細胞は大きくなり肥満になる状態(脂肪細胞の一つ一つが肥大している状態)は消費エネルギーより摂取エネルギーが上回っている状態で起こります。
逆に消費エネルギーが摂取エネルギーを上回ると中性脂肪が消費され、脂肪細胞は小さくなっていきます。
基礎代謝
では自分の必要なエネルギー量はどのように知ることが出来るでしょうか?
最近では基礎代謝量の計算サイトなどもあるのでそちらを使ってみると簡単に計算することができます。
男性: 13.397×体重kg+4.799×身長cm−5.677×年齢+88.362
女性: 9.247×体重kg+3.098×身長cm−4.33×年齢+447.593
他に基礎代謝量を知る方法として体組成計での測定方法もあり、必要データを入力して体重計に乗るだけで基礎代謝量を知ることができるため便利です。
最近では、家庭用の体重計にも体組成測定機能が備わっているものも多く、そういったものを活用する方法も。
基礎代謝量とは人体の生命維持に必要な1日分の最低限のエネルギー量のことをいい、最低限基礎代謝量分のカロリーは摂取しなければなりません。
基礎代謝量分のカロリー摂取だけでは、飢餓状態になってしまいます。
飢餓状態であることも身体にとっては良いことはなく、脂肪ではなく筋肉を分解してエネルギーを利用するため瘦せにくいという結果になってしまいます。
基礎代謝量を参考に1日の摂取エネルギーを算出し、それを上回らないようにすることが内臓脂肪を蓄積させない一番の近道です。
1日の必要なエネルギー量
- ほぼ運動しない (基礎代謝 × 1.2)
- 軽い運動 (基礎代謝 × 1.375)
- 中程度の運動 (基礎代謝 × 1.55)
- 激しい運動 (基礎代謝 × 1.725)
- 非常に激しい (基礎代謝 × 1.9)
有酸素運動
摂取エネルギーを意識するほかに、有酸素運動を取り入れていく事が大事で運動を行うとエネルギー消費を増やすことにつながります。
有酸素運動の運動強度は40-60%、自覚的運動強度は楽~ややきついの運動を週に5回~毎日行えると良いでしょう。
参考:厚生労働省「肥満症・メタボリックシンドロームの人を対象にした運動プログラム」
まとめ
メタボリックシンドロームは、すでに身体に異常がみられる状態の人のことを言います。
日々の生活習慣を改善する事により重篤な病気を防ぐことにつながるので、食生活や運動量などの生活習慣を考え健康寿命を延ばしていく取り組みをしていきましょう。
メディカルフィットネスでは
- 健康診断で引っかかってしまった項目がある
- 病院で運動するように言われた
- 内科的に運動した方が良いけど、関節に痛みがあってどうしたら良いかわからない
と言った方も多く利用されています。運動を悩まれている方はぜひ一度ご相談ください。
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メディカルフィットネス北12条店所属 理学療法士のタケダです。
整形外科疾患、内科疾患の方、予備軍の方に向けた指定運動療法施設 メディカルフィットネスにいます。
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