【前編】救命処置とは?あなたにもできる人助け!何か起こる前に事前準備を始めよう!
あなたは「救命処置」と言われたときにどのようなものかパッとイメージがつきますか?
その時は突然やってきます。
目の前に人が倒れていた時、更には、発見した傷病者の意識がない時、あなたは適切な判断をすることができるでしょうか?
その場にはあなた一人しかいない。倒れている目の前の人を助けられるのはそこにいるあなただけ。
そんな時、あなたは目の前にいる方を助けることはできますか?
今回は救急処置の一連の流れをまとめたコラムをお届けします。最後までご覧頂くことで、明日からあなたも目の前に人が倒れていたときにとっさの判断で動くことができるようになるでしょう!!
まずは【前編】をお届けします!【後編】も併せてお読み下さい!
https://www.smartway.co.jp/column/colum/takemura75
是非、最後までご覧ください。
▼この記事を読んで欲しい方
- 救命処置とは何かわからない方
- 救命講習を受けたことがない方
- 応急手当の内容が分からない方
- 心肺蘇生のやり方が分からない方
- 人工呼吸のやり方が分からない方
- 救命処置の内容を復習したい方
- 誰かの助けになりたい方
▼この記事を読んで分かること
- 救命処置は何か
- 応急手当の種類
- 救命処置の手順
- 救命処置のそれぞれのやり方
- 救命処置のポイント
救命処置とは?
まずは基礎的な部分、救命処置とはどのようなものか?を説明していきます。
救命処置とは…
「心臓や呼吸が止まってしまった場合への対応」
のことを指します。
怪我や病気の中でも最も重篤で緊急を要する心臓が止まってしまったとき、呼吸が止まってしまったときに対応する応急手当のことを救急処置と表現します。
応急手当にはどのようなものがあるのか?
応急手当といっても上記に記載した「救急処置」以外にも対応するものがあります。
実際にどのようなものがあるのか簡単に説明していきます。
救急処置
呼吸や心臓が止まったとき
- 心肺蘇生(胸骨圧迫と人工呼吸)
- AEDの使用
のどに物が詰まったとき
- 気道異物除去(背部叩打法や腹部突き上げ法)
その他の応急手当(ファーストエイド)
- 楽な姿勢を取らせる方法(保温、体位変換)
- 出血に対する応急手当(止血法)
- 気管支喘息発作に対する応急手当
- アナフィラキシーショックに対する応急手当
- 低血糖に対する応急手当
- けいれんに対する応急手当
- 失神に対する応急手当
- 熱中症に対する応急手当
- 低体温に対する応急手当
- 傷に対する応急手当
- 捻挫、打撲に対する応急手当
- 骨折に対する応急手当
- 熱傷に対する応急手当
- 歯の損傷に対する応急手当
- 毒物に対する応急手当
- 溺水に対する応急手当
- 傷病者の運搬方法(搬送法)
上記のように救急処置にも様々な種類が存在します。
今回はその中でも、呼吸や心臓が止まったとき命に関わる救急処置の内容についてお伝えしていきます。
救命処置の手順をご紹介
救命処置にはいくつかの手順が存在します。
この手順を覚えておくことで何か起こったときに迷うことなくスムーズに対応することが可能となります。
是非、手順を覚えておきましょう。
手順は7つあります。
- 安全の確認
- 反応の確認
- 119番通報とAEDの手配
- 呼吸の確認
- 胸骨圧迫
- 人工呼吸
- AEDの使用
上記の7つの手順を覚えておきましょう。
※一次救命処置は成人も小児も同じ手順で行います。
安全の確認
傷病者の救助の前に、自身の安全確保を優先します。
誰かが倒れていたり、緊急を要する事態を発見した場合にはまず、周囲の安全確認をします。
車が通る車道上に人が倒れていた場合には歩道まで人を運ぶ、室内に煙が立ち込めている場合には特に注意が必要です。
反応の確認
傷病者の両肩を優しく叩きながら「大丈夫ですか?」「もしもし」などと大きな声で呼びかけを行います。
こちらの呼びかけに対して反応があるかどうかを確認します。
《ポイント》
- 呼びかけに対して目を開けるか、何らかの反応があった場合には「反応あり」と判断します。
- 反応があった場合には傷病者の訴えを聞き、必要な応急手当を行います。
- 一方で、呼びかけに対して、目的のあるしぐさがない場合には「反応なし」と判断します。
- けいれんのような全身がひきつるような動きは「反応なし」と判断します。
- 反応が「あるか」「ないか」判断に迷う場合や、わからない場合には心停止の可能性を考えて行動するように心がけましょう。
119番通報とAEDの手配
大きな声で周囲に助けを求めます。
大きな声で「誰か来てください」「人が倒れています」と周囲の人へ緊急事態が発生していることを知らせましょう。
協力者が来た場合には救助者に対して「あなたは119番通報を」「あなたはAEDを」と指示を出します。この時、複数名が駆けつけてくれた場合には、誰が対応するか迷わないように相手を具体的に指示を出すように注意しましょう。
《ポイント》
- 119番通報を行うと、通信指令員がその場で行うべきことを指示してくれます。
- 電話を繋いだ状態とし、電話のスピーカー機能を活用することで音声を聞きながら適切な対応を両手で行うことができます。両手が空くことで、そのまま胸骨圧迫なども実施可能となります。
- 協力者がいない状態で、自分ひとりで対応をする場合にはまずは自ら119番通報を行いましょう。すぐ近くにAED設置場所が分かっている場合には119番通報の後、AEDを取りに行きましょう。AEDが必要な状態かどうか、判断に迷った場合には通信指令員に尋ねることも可能です。
呼吸の確認
普段通りの呼吸があるかどうかを確認します。
傷病者の胸とお腹の動きを見て「普段通りの呼吸」があるかどうかを10秒以内に確認します。
傷病者に普段通りの呼吸がない場合、あるいは呼吸があるかないかの判断に自信を持てない場合や、わからない場合には心停止と判断し、直ちに胸骨圧迫を開始します。
反応はないが、普段通りの呼吸がある場合には、様子を見ながら救急隊員の到着をその場で待ちます。
《ポイント》
次のいずれかに該当した場合には「普段通りの呼吸なし」と判断します。
- 胸やお腹の動きがない場合
- 約10秒間確認をしても呼吸の状態がよくわからない場合
- しゃくり上げるような途切れ途切れの呼吸がみられる場合
上記の3つに該当する場合には「普段通りの呼吸なし」と判断します。
③の状態は通常通りの呼吸ではなく、死戦期呼吸と呼ばれる呼吸です。
心停止が起こった直後には呼吸に伴う胸やお腹の動きが普段通りではない場合や、しゃくりあげるような途切れ途切れに起こる呼吸がみられることがあります。このような呼吸の場合には死戦期呼吸と判断します。
胸骨圧迫
胸骨圧迫によって心臓や脳に血流を送ります。
その結果、AEDの効果を高めたり、脳の後遺症を軽減させる効果があります。
心停止出ない場合に胸骨圧迫を行ったとしても、重大な障害が生じることはないとされているため、ためらわずに胸骨圧迫を開始することが重要です。
胸の中心部分にある胸骨の下半分に重ねた手を置きます。そのまま重ねた両手で強く、速く、絶え間なく圧迫します。
胸骨の下半分に片方の手のひらの付け根部分を当てます。
もう一方の手を置いた手の上に重ねます。両手の指を互いに組むようにすると力が集中し、上手く胸骨圧迫を行うことが出来ます。
両肘を真っ直ぐ伸ばし、手のひらの付け根部分に体重をかけ、真上から垂直に傷病者の胸を圧迫します。この時、傷病者の胸が5センチ程度沈むように圧迫しましょう。
1分間に100~120回のテンポで連続して、絶え間なく圧迫することがポイントです。
圧迫と圧迫のあいだ(圧迫を解除するとき)には一度、力を抜き、胸が元の高さまで戻るように注意しましょう。この時に、十分に解除がなされていないと、常に心臓が押されている状態となり、心臓まで血液が戻らずに、空の状態の心臓を常に押している状態となり、胸骨圧迫の効果が半減してしまいます。心臓を押すことと、元の状態まで戻し、圧迫を解除すること、どちらもしっかりと行うように意識しましょう。
小児の胸骨圧迫は、両手もしくは体格に応じて片手で、胸の厚さの約三分の一程度が沈むように胸骨圧迫を行います。
《ポイント》
- 胸骨圧迫を行う際の約5センチの深さは単三電池の長さとほぼ同じ長さとなります。
- 胸骨圧迫の練習を行うときにはメトロノームなどを活用し、一定のリズムで出来るようにしましょう。1分間で100~120回の回数が目安です。練習を行う中で、自然とリズムが取れるようになることが理想です。
- また、胸骨圧迫を行う際には、肩の真下に手首が来るようにセットすることで力を適切に加えることができます。斜めに圧迫しないこと、肘を曲げて圧迫しないことを注意しましょう。斜めに圧迫を加えてしまうことで、胸骨の骨折などの他部位への影響も出てしまいますので、注意が必要です。
- 心肺蘇生を行っている間は、AEDの使用、人工呼吸を行うとき以外は胸骨圧迫をできるだけ中断しないことが重要です。絶え間なく胸骨圧迫を繰り返しできるように注意しましょう。
- もし周囲に応援者がいる場合には、自分ひとりで続けようとせず1~2分を目安に交代しながら胸骨圧迫を繰り返しましょう。疲労した状態で無理に続けてしまうと、リズムが乱れてしまったり十分な深さまで胸骨圧迫を行うことができず、せっかく行っていても効果が半減してしまいます。周囲の人と助け合いながら継続しましょう。
《乳児の場合》
乳児の場合には成人と比較し、少し異なる部分があります。
- 圧迫の位置は両乳頭を結ぶ線の少し足側、胸骨の下半分です。
- 胸骨圧迫は手のひら全体ではなく、指2本で実施します。
- 胸骨圧迫のテンポは成人と同様に1分間に100~120回で行い、連続して絶え間なく実施するように心がけましょう。
- 圧迫の深さは胸の厚さの約三分の一沈む程度とします。乳児だからと言って力を弱めると十分な刺激を与えることができません。胸の厚さの三分の一程度までしっかりと沈むように強く、速く、絶え間なく実施しましょう。
まとめ
今回はまず【前編】として、救急処置の基礎の部分から胸骨圧迫までの流れや手順をお伝えいたしました。
【後編】では、胸骨圧迫の次の手順である人工呼吸から内容をまとめていきます。
是非、【前編】【後編】合わせてご覧ください!!
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所属の健康運動指導士トレーナー竹村です。
内科系疾患・整形外科疾患・予備軍の方に向けた健康増進施設、指定運動療法施設にてトレーナー従事中
運動を行う上での効果やポイント、身体についての知識など、運動に関わる様々な情報を発信していきます。